バード
◆バード
長い髪を振り乱した娘が、
鈴のようなものをつけた楽器を手に、
腰をくねらせながら踊っている。
汗のしたたるその顔は、驚くほど幼い。
娘は君に気づくと
にっこりと笑って見せ、手招きをしてきた。
一緒に踊ろうと誘っているようだ。
君に少しでも踊りの心得があるか、
あるいはこの娘に興味を持ったのなら近寄ってもいい。
汗をかきたくないのなら他をあたれ。
君の手をとり、華麗なターンを決めると
娘は肩で息をつきながら椅子に座った。
「歌と踊りがあたし達バードの仕事だけど・・・
あなたもなかなかやるじゃない!」
娘は旅の一座に加わってこの街まで来たが、
樹海の噂を聞きつけて興味津々なのだと言う。
「色々なものを見たり聞いたりするのも
バードの仕事だと思うのよね。
だけど、樹海は危険だって言うし・・・
あたしを連れてってくれるような人はいないかしら」
自分がそうだと言うのならこの娘を連れていくことにしてもいい。
厄介なお荷物を抱え込むのはご免だと言うのなら
もう一踊りしてから他をあたれ。